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今回は、つまりの原因について考えたり、解決策について考えたりする前に、お風呂場の排水溝の仕組みを理解しましょう。お風呂場の排水溝はこのようなシステムになっています。
ユニットバスの場合、洗い場の排水口に浴槽の排水栓から出ている管がつながり、洗い場の排水口の排水トラップと結合され、排水管に繋がっているという形になります。
詰まりが発生しやすい箇所は、1つ目が、浴槽の排水栓、2つ目が、洗い場の排水口、3つ目が排水トラップ、4つ目が排水管です。
浴槽の排水栓や洗い場の排水口が詰まっているだけなのであれば、作業する場所が手前の部分になるため、そこまで手間はかかりません。
排水トラップは、排水管の中を流れる悪臭が排水溝の中から逆流してこないように水を使って空気をせき止める役目をする構造のことを言います。排水トラップは、お風呂場だけではなく、キッチンの排水溝にも使われています。
浴槽の排水栓と洗い場の排水口は、それぞれに独立して排水トラップがあるわけではなく、1つの排水トラップが2つ分の排水溝の悪臭の逆流をストップさせる役割を果たしています。多くの場合、排水トラップ自体は洗い場の排水口の真下にあり、その下に空気をせき止める水が溜まっています。そして、その排水トラップの下の部分から管が伸び、浴槽の排水栓へと繋がっているという形になります。この管の中には常に水が溜まっている状態になります。そのため、浴槽の排水栓の中を覗くと、中に水が溜まっているのを確認できると思います。
排水トラップ内部に本来適度な量が保たれているはずの水が、排水管に流れなくなり汚れと異物が一緒にあふれ出し、詰まりの原因となります。
お風呂の排水溝の詰まりの原因になってしまう物質には様々なものがあります。それぞれつまりの解消に効果的なアクションが変わってくるため、もしあなたの家のお風呂場の排水溝が詰まっ溶けだしている場合は、原因物質が何なのかを最初に確認しましょう。
入浴剤を使った後に、袋の切り取った部分の小さな破片などが、お湯で流れて詰まってしまうことなどがあります。
髪の毛は、男性であっても女性であっても、年齢を問わずに1日50本から100本程度が抜けます。
石鹸のカスや、シャンプーやボディソープなどが少しずつ排水溝の中に詰まった固形物や髪の毛などに付着し、堆積していくことによって、大きなドロドロとした塊に成長していきます。
体から出る汚れが詰まりの原因になることもあります。排水トラップ内部にこびり付き、ある一定の量がたまったところで、詰まりになります。
排水管の内部には様々な雑菌が生息しています。髪の毛や洗剤のカス、皮脂や垢などが排水管の中を流れる過程で排水管の内側に付着すると、雑菌にとって格好のエサとなってしまいます。
この様にお掃除を怠ると排水に汚れが溜まり雑菌が繁殖して詰まりの原因になります。
(フタの裏はこんなに汚れて雑菌が繁殖しています。)
お風呂の排水口は、カビや水垢、体から出た皮脂などさまざまな汚れが集まっています。浴室を使うたびにこまめに掃除し、汚れの蓄積を予防したいところです。
排水口の掃除は、液体パイプクリーナー・重曹とお酢・ラバーカップ(スッポン)・ワイヤーブラシ・針金ハンガーなどが使えます。それぞれの使い方・手順をチェックしておきましょう。
最初に排水口にたまっているゴミを回収しておきましょう。手で取れる範囲で問題ありません。
洗剤に記載されている分量を排水口にまんべんなく流し込み、20〜30分ほど放置します。
時間が経過したら水で十分に洗い流し、残った汚れを使用済み歯ブラシなどを使ってうまくキレイにします。
全体的に汚れが取れたら、分解した排水口を元に戻し、掃除完了です。
比較的簡単便利に対応できるので、ぜひ試してください。
重曹とお酢を使った掃除手順を説明します。
どちらも身近にあるものなので、気軽に掃除ができるのがポイントです。
手順も難しくないので、ぜひ試してください。
まずは、浴室の排水口のゴミを簡単に取り除きます。
排水口に重曹を200gほど、まんべんなく振りかけます。
次に、お酢を100ml流し込み、15分ほど放置しましょう。
重曹とお酢が化学反応を起こし、炭酸ガスがでてきます。
15分経過したら、お湯で重曹とお酢を洗い流しましょう。
最後に排水口を分解し、残った汚れをブラシなどを使って落とします。
ラバーカップは、浴室の排水溝のつまりや汚れに効果的です。
押したり引いたりする際の圧力を利用します。
最初に浴室の排水口のゴミを取り除いておきましょう。
次に、髪の毛を集めるヘアキャッチャーなどを外し、排水溝がむき出しの状態にします。
排水溝にラバー部分を押し当て、ゆっくりと押し込みます。
限界まで押し込んだら、引き上げるようにしましょう。
この押し引きの動作を何回か繰り返すとポンプの力で、排水溝のつまりや汚れが取り除けます。
ラバーカップで掃除したあとに、さらに液体クリーナーや重曹などで掃除をすると、排水溝をよりキレイにでき便利です。
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ワイヤーブラシは、長い柄の先がブラシになっている掃除用具です。持ち手が棒状で握りやすいものとワイヤータイプのものがあり、排水口から奥までつまりを取り除く場合はワイヤータイプを選んでください。
ゴム手袋を装着し、ブラシの柄を握ってブラシの先を排水口の中に差し込みます。奥に進めて行き止まったところで上下左右に動かすほか、円を描くようにしてつまりが貫通するまで進めます。
ぶつかる感覚がなくなったらワイヤーブラシを引き抜いてつまらせたものをビニール袋に回収します。
つまったものが取れたら、水を少しずつ流し入れてつまりが改善したかを確認します。
針金でできているハンガーは、ペンチで分解し加工することで掃除用具にできます。
賃貸物件の場合、針金によって傷をつけるおそれがあるため基本的には他の方法をおすすめしますが、まわりに掃除用具が何もなくすぐにつまりを取り除きたい場合はこの方法がおすすめです。
ハンガーを分解し、三角になっている針金をまっすぐに伸ばしてから、先端を小さな丸の形にします。きれいな丸ではなく、つまりが引っかかるように先端を少しずらした丸にすると良いでしょう。
小さめの丸に加工し、排水口の中に入れやすい大きさに整えてから、排水口に差し込んでつまりに行き当たったところで上下左右に動かし、回転運動を加えてつまっているものを取り除きます。
つまっていたものはビニール袋に取り出し、すべて取り除けたら水を少しずつ流し入れてつまりが改善したかを確認します。
お風呂の排水口がつまったときは、つまっているものに合わせて以下のような洗剤を使い分けてみてください。
液体パイプクリーナーは、つまりを溶かして取り除く薬品です。髪の毛などがつまりの原因になっている場合は液体パイプクリーナーが役立ちます。酸性の洗剤や薬品と混ぜないように注意し、週に2回程度までの使用にとどめてください。
ピーピースルーは、業務用の液体パイプクリーナーの製品名です。環境に配慮しており、排水管の内部に付着した汚れを発泡と発熱作用によって取り除きます。
液体パイプクリーナーを使っても効果が得られない頑固な汚れは、発泡力と発熱作用を与えることで落としやすくなるかもしれません。
パイプハイターは、こすっても落ちない頑固な汚れ・菌を漂白除菌し菌の繁殖を防ぐ洗剤です。
洗剤が排水口の中で密着し、髪の毛やヌメリを溶かして臭いの元からきれいに漂白洗浄します。トイレやキッチンなど、水回りすべてに使えるタイプのものが1本あると安心です。
バイオ排水管きれいは、排水管についた臭いや汚れを落とすパイプクリーナーです。
ディスポーザーにも使用できる環境にやさしい製品で、食品に含まれる栄養分を利用して増殖するカビに対しても抑制効果を発揮。玉ねぎの腐ったような臭いも軽減が期待できます。
パイプハイター高粘度ジェルは、水回りすべての排水口・排水管に使える洗剤です。
排水管の中に付着した汚れだけではなく髪の毛も溶かして落とすので、臭いやつまりの予防に役立ちます。
同じメーカーから発売されている「パイプハイター」よりも高粘度のジェルタイプなので、排水管の角度が急な場所におすすめです。
お風呂つまりの解消に洗剤を選ぶときは、以下のポイントを確認しましょう。
【お風呂つまりで洗剤を選ぶコツ】
まずはつまっているものを確認し、目視でわからなければワイヤーブラシなどを使って取り除きます。水がつまりによって一切流れない、逆流する、排水口から溢れて洗い場に水が溜まっている場合は、水回り専門の修理業者に相談してください。
つまっているものが取り除けたら作業自体は完了ですが、髪の毛や石鹸カスが大量に含まれている場合は、髪の毛を溶かす成分が含まれた洗剤を選びましょう。
老朽化し浴室自体が古くなっている場合は、カビやその他の汚れが蓄積している可能性があります。殺菌効果や洗浄力の強い洗剤で定期的に掃除を行ってください。
お子さんやペットがいるご家庭では、危険性の高い薬品は使用せず安全なものを選びましょう。ボトルが持ちやすく、扱いやすい形状の洗剤も定期的な掃除におすすめです。
日々の生活の中でちょっとした工夫をすれば、お風呂の排水溝のつまりも予防できます。
簡単に予防できる方法を3つご紹介します。
月に1〜2回ほど液体パイプクリーナーを使って掃除をしておけば、排水管も含めてキレイな状態をキープできます。
もし液体パイプクリーナーの使用に不安がある場合は、重曹とお酢を使用した掃除方法でも効果は高いです。
継続して掃除ができる手段を選び、お風呂の排水溝のつまりを防いでいきましょう。
排水口にそのまま髪の毛などが流れていくと、排水管の中に滞留してつまりの原因になることがあります。ゴミ受けは必ず設置し、その上にごみ取りシートを貼ることでつまりやすいものを受け止めてくれます。
ごみ取りシートは、平たい形状をしているゴミ受けや排水口に向いています。目皿がなく排水口が直接むき出しになっている場合も、ごみ取りシートを上から貼っておくだけでつまりの予防ができます。
市販のヘアキャッチャーを取り付け、定期的に交換する方法もおすすめです。浴室を使用する人が多く髪の毛の除去や掃除が間に合わないときは、ヘアキャッチャーごと交換すると良いでしょう。
ゴミ受けを使っている場合は、その上にネットを被せる方法も効果的です。ネットは定期的に交換し、カビが生えやすい排水口まわりも消毒してください。
頑固な汚れには高圧洗浄もおすすめです。虫や雑菌の発生源になりやすいため、老朽化がきになる場合は高圧洗浄で浴室の床や排水口を中心に掃除すると良いでしょう。
※高い水圧を利用して汚れを洗い落とすため、浴室の素材や劣化度によっては適さない場合があります。床材やコーキングに剥がれがみられる場合は使用を控えてください。
お風呂の排水溝のつまりは、自分でも解消できるものも多いですが、注意しておかなければならないポイントもいくつかあります。
間違った方法で対処を進めると、思わぬ事故やトラブルに発展する可能性もあるため、しっかりと注意点を把握しておきましょう。
お風呂で使用する薬品の中には、人体に悪い影響を与えるものも数多くあります。
とくに、
複数の薬品を混ぜた際に、化学反応を起こし、本来発生しないような有害物質がでる
ケースが多いです。
お風呂で使用する薬品には、必ず一緒に使用すると危ないものが記載されています。
薬品を取り扱う際は、注意書きをよく確認し、誤った使い方をしないように気をつけてください。
また、薬品を使って掃除をする際は、目や口、皮膚にもかからないように注意して掃除を行いましょう。
炎症を引き起こす恐れがあるため、もしかかってしまった場合は、すぐに洗い流してください。
症状がひどい場合は、医師に相談する必要もあると覚えておきましょう。
お風呂の排水溝のつまりは簡単に解消できるケースもありますが、ときにはいくらやっても直らない場合もあります。
このときに、つまりが解消できないからと、無理にブラシなどでつまっている物体を押し込むと、さらにつまりが悪化し危険です。
また、つまりの原因そのものが、自分では直せない場合もあります。
いくつかつまりを解消する手段を試しても、改善がみられない場合は、自分で無理に作業を進めるのではなく、専門の業者に一度相談しましょう。
結果的に、手間もお金もかからないケースも多いです。
排水口つまりを取り除くときは、排水管から臭いが立ちのぼってきます。臭いが充満しないように、浴室のドア・窓はすべて開放し、換気扇を回してきれいな空気を循環させます。
塩素系の洗剤など、においが強い洗剤を振りかける場合は、一定時間放置しなければなりません。その間もしっかりと換気を行い、放置中は浴室から離れてください。
お風呂の排水溝のつまりの原因の中には、業者でないと対応が難しい場合もあります。
主に、排水管の勾配が変化してしまったケースと排水桝に原因があるケースです。
どちらも一般の方には対応が難しいです。
詳しく解説します。
排水管は、排水を流れやすくするために、緩やかに勾配がつけられています。
この排水管の勾配が変化してしまうと、排水が上手く流れなくなり、排水溝のつまりにつながる可能性が高いです。
勾配が変わる要因としては、リフォームの際の工事や経年劣化、地震などの影響
が考えられます。
また、勾配を直すためには、専門の業者による工事が必要になります。
液体パイプクリーナーや重曹とお酢、ラバーカップなどの対応をしても、つまりが解消できない場合は、排水管の勾配が変わっているかもしれません。
まずは、専門の業者に相談し、状況を確認してもらいましょう。
排水桝は、屋外の排水管のところに設置されています。
排水を一時的にせき止め、点検などに利用されます。
排水桝が汚れなどでつまってしまうと、排水が逆流し、お風呂の排水溝のつまりにもつながる
ケースが多いです。
排水桝を清掃すると解消できる可能性は高いですが、個人での対応が難しく、専門の業者に相談した方が解決も早くなります。
仮に、自分で対応する際は、つまりの原因になっている排水桝よりも下の部分の排水桝を見つけ、つまりを解消する必要があります。
また、高圧洗浄機などの機器も必要になってくるため、準備も大変です。
自分で対応を考えている場合でも、一度は専門の業者に相談すると、より安心して対応ができます。
お風呂つまりの修理を業者に依頼する費用は、8,000円前後からが大まかな相場です。
基本料金として5,000〜8,000円程度に設定し、現場の状況に合わせて作業時間や作業員の人数、材料費を加算していくケースが多くみられます。
電話やメールで連絡をしたときに見積もりを出してもらう方法もありますが、業者の多くは現場の状況を見てから作業内容と費用を計算します。
屋外の排水管や排水桝も含めた工事が加わると3万円を超える可能性もありますので、よく相談のうえ作業を依頼してください。
お風呂つまりの修理業者を選ぶポイントは、「見積もりを複数取る」「口コミを確認する」の2点です。
それぞれのポイントを詳しくチェックしていきましょう。
3社程度の修理業者を選び、それぞれから見積もりを取りましょう。
現場確認を希望されたときは、概算で大まかな料金や追加料金の相場を聞いておきます。複数の見積もりを取ったところで料金を比較し、口コミやそれ以外の条件も比較して、最終的に絞った1社に連絡します。
電話口やメールで大まかな見積もりを一切教えてくれない場合は、相場がわからないため候補からは外しておいた方が良いでしょう。
業者選びでは、それぞれの会社のホームページやブログを確認し、連絡先や住所が書かれているかをチェックしてください。次に、ホームページ内の「施工事例」や「お客様の声」や、業者のホームページ以外の場所に掲載されている評判(SNSやGoogleの口コミなど)を確認します。
「水道局指定工事店」など、自治体から認可を受けているかも確認し、料金体系がわかりやすく提示されているところをピックアップしましょう。
お風呂の排水口つまりは、入浴剤の塊・石鹸カス・髪の毛・衣服の繊維や糸クズ・ホコリ・おもちゃ(小さなもの)・ピアスなどのアクセサリー類・洗剤や入浴剤の切り口など、さまざまなものが原因になります。
掃除をせず放置しているとカビやヌメリが発生し、取れにくい汚れが排水口から排水管全体に広がっていくため、つまりの予防と解消はそれぞれ定期的に行う必要があります。
普段からつまりの原因を確認し、予防策や対策を行う習慣をつけましょう。つまりが発生し、対処が難しい場合は信頼のできる水道修理業者にご相談ください。
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