- 投稿日: 2024/03/26
- 更新日: 2024/10/08
グリストラップの正しい掃除方法
目次
飲食店から出る油やゴミなどを除去するために設置するグリストラップ。
毎日使用するグリストラップの掃除を放っておくと悪臭や害虫、最悪の場合には食中毒などが発生する可能性があるため、定期的な掃除が必要です。
しかし、なんとなく掃除するだけでは、グリストラップ内に溜まったゴミを綺麗に取ることはできません。
第1層・第2層・第3層ごとに適切な掃除方法と掃除頻度を守り、また、グリストラップ専用の掃除道具を使用しながら正しい掃除をしていきましょう。
当記事では、グリストラップの正しい掃除の仕方から掃除頻度、掃除を楽にする掃除道具など、グリストラップの掃除に関することをイラストも用いながらわかりやすく解説していきます。ぜひ参考にして正しいグリストラップの掃除を行ってください。
【記事のポイント】
- グリストラップの掃除は何回に1回が目安なの?
→グリストラップは、基本的に毎日掃除をしましょう。ただし第3層のストップ管内部は2〜3ヶ月に1回の掃除頻度で問題ないです。詳しくは「グリストラップの掃除頻度は毎日」で解説しています。
- グリストラップの清掃方法は?
→グリストラップ内のゴミや油を取り除き、ブラシや網を使用して掃除をします。グリストラップ専用の便利道具を使用すると時短できます。
グリストラップの正しい掃除方法
グリストラップとは、飲食店などで使用した油や残飯などのゴミを処理するための装置を指し、3つの槽に分けて廃棄物を処理していきます。
第1層 | キッチンから流れてくる残飯や生ゴミをバスケットで取り除く。 細かいゴミは下に沈殿させる。 |
第2層 | 細かいゴミと油を分離させる。 油は浮かせて、細かいゴミは下に沈殿させる。 |
第3層 | さらに油を分離させる。 油やゴミの少ない状態でパイプ状のトラップ管を使って下水に排出させる。 |
参考: グリストラップとは|株式会社鈴木油脂 、 グリーストラップの清掃についてお願い|高槻市
グリストラップを正常に機能させるためには、正しい掃除が大切ですので、グリストラップの掃除の仕方について詳しく解説していきます。
グリストラップの掃除に必要な道具
まずは、グリストラップの掃除に必要な道具を確認しましょう。
【グリストラップの掃除に必要な道具】
- 手袋
- ブラシ
- バケツ
- ビニール
- 油取り網、ひしゃく
- すくい棒(柄が長いもの)
- 長靴
- 汚れても良い服
(h3)グリストラップの掃除方法
グリストラップの第1層・第2層・第3層ごとの掃除の仕方についてご紹介します。
【事前準備】
- すべての蓋を外しておく
- バケツにビニール袋を被せておく
第1層の掃除方法
①バスケットの取手を持って持ち上げる
②バスケットをひっくり返してゴミを取り除く
※取り除いたゴミはビニール袋付きバケツに捨てる
③バスケットをひっくり返した状態で、細かいゴミをブラシで取る
④バスケットに水をかけて流す
第2層の掃除方法
①浮かんでいる油を油取り網やひしゃくですくう
かき混ぜずに優しく水面を撫でるようにすくう
②すくった油とゴミはビニール袋付きバケツに捨てる
③下に沈殿した汚泥は柄の長いすくい棒を使って取り除く
第3層の掃除方法
①浮かんでいる油や細かいゴミがあればすくう
②トラップ管内部をブラシを使って洗う
グリストラップ全体の掃除
①第1層から第3層までの掃除をする
②バスケットや板など全てのパーツをとり外す
③バケツやひしゃくを使って水を抜くか業者に頼んで全体の水をぬく
④全体をブラシで洗う(トラップ内部も)
⑤水で流す
グリストラップの掃除頻度は「毎日」
グリストラップの掃除頻度は、基本的に毎日です。掃除する場所ごとの掃除頻度ををご紹介します。
場所 | 頻度 |
バスケット(第1層) | 毎日 |
第2層・第3層の油 | 1週間に1回(多い時は毎日) |
第1層・第2層の沈殿物 | 1ヶ月に1回 |
グリストラップ全体(水ぬき) | 1ヶ月に1回 |
トラップ管 | 2〜3ヶ月に1回 |
上記の表を参考に定期的な掃除をしましょう。
参考: 下水道へ油を流すと(飲食店・料理店のみなさまへのお願い|枚方市 、 グリーストラップの清掃についてお願い|高槻市 、 グリース阻集器・保守・管理について|日本阻集器工業会
グリストラップの掃除に便利な道具【4選】
グリストラップの掃除方法をお伝えしましたが、グリストラップ専用の便利な道具を使用すれば、簡単に掃除することができ、時短にも繋がります。
そこで、グリストラップの掃除に便利な道具をご紹介します。
- バスケット用水切りネット
- 油吸着シート
- 油吸着材+回収網
- グリストラップ用すくい棒
バスケット用水切りネット
グリストラップのバスケット用水切りネットとは、家庭でいう三角コーナーのネットのような役割です。簡単に取り付け可能で、生ゴミなどの廃棄物を負担なく回収できます。
①グリストラップ第1層のバスケットに水切りネットを入れる
②上の部分を外側に折り曲げてセットする
③ゴミが溜まったらネットごと取り出して処分する
バスケット用の水切りネットは、小さなゴミまでキャッチできるように網目が細かく、そして、どのバスケットのサイズにも合うように伸縮性のあるネットがおすすめです。
参考: グリストネット|グリーストラップバスケット用水切りネット|旭化成ホームプロダクツ
油吸着シート
グリストラップの油吸着シートとは、油を吸収するためのシートのことです。放置するだけで油を吸収するため、油を何度もすくう必要がありません。
①グリストラップを掃除した後、第2層の中央にシートを浮かべる
②1週間程度放置しておく
③油吸着シートを取り出して処分する
参考: グリストネット|グリーストラップ油吸着シート|旭化成ホームプロダクツ
油吸着材+回収網
水に溶けやすい水溶性の油吸着シートに油を吸収させた後、専用の網ですくいます。
①油吸着材をグリストラップの第2層に入れる
②油吸着材をが溶けるまでかき混ぜる
③油を吸収できたら専用の網で回収する
油を効率よく集めることができる便利な道具です。
参考: すくいん棒|グリーストラップ清掃道具|旭化成ホームプロダクツ
グリストラップ用すくい棒
グリストラップ用すくい棒とは、柄が長いのが特徴で、下に溜まった沈殿物を取る道具です。油吸着シートをすくい棒ですくうこともできます。
①グリストラップの下にある沈殿物をすくいとる
②すくい取った沈殿物を処分する
柄が長いグリストラップのすくい棒だと、かがまずに立ったまますくうことが可能です。また、すくう部分が四角形だと端までしっかり取り除くことができます。
参考: グリストラップ用 油吸着材/グリストラップ用 油吸着回収網|DUSKIN
そもそも飲食店にはグリストラップの設置は必要なの?
飲食店においてグリストラップは、水質汚染の防止や食品衛生を管理するためにも設置が必要です。
飲食店では、油や洗剤、食材を毎日大量に使用しますが、適切な処理をせずに廃棄物をそのままにしてしまうと、異物が下水に直接流れ込み、水質汚染・自然環境汚染へと繋がる可能性があります。
また、衛生管理不足となり食中毒や異物混入の原因にもなってしまいます。
そこで、国の法律、各自治体の条例や制度により、廃棄物で下水道を汚染されず、衛生環境を保つためにもグリストラップの設置が求められているのです。
グリストラップ設置の法律・条例・HACCP
グリストラップ設置に関する法律・条例などをご紹介しますので、対象の飲食店はしっかりと確認しましょう。
(h4)下水道法
”第七条の三 公共下水道管理者は、公共下水道を良好な状態に保つように維持し、修繕し、もつて公衆衛生上重大な危害が生じ、及び公共用水域の水質に重大な影響が及ぶことのないように努めなければならない。”
”第十条 公共下水道の供用が開始された場合においては、当該公共下水道の排水区域内の土地の所有者、使用者又は占有者は、遅滞なく、次の区分に従つて、その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水管、排水渠きよその他の排水施設(以下「排水設備」という。)を設置しなければならない。”
(h4)条例
【東京都】
”第三条の二 汚水が油脂、ガソリン、土砂その他排水のための配管設備の機能を著しく妨げ、又は排水のための配管設備を損傷するおそれがある物を含む場合においては、有効な位置に阻集器を設けなければならない。”
引用: 昭和37年4月1日 下水道局管理規程第28号|東京都下水道条例施行規程
【高槻市】
”第8条 特定事業場から下水を排除して公共下水道(終末処理場を設置しているもの又は終末処理場を設置している流域下水道に接続しているものに限る。次項、次条及び第8条の4において同じ。)を使用する者は、次に定める基準に適合しない水質の下水を排除してはならない。
(5) ノルマルヘキサン抽出物質含有量
イ 動植物油脂類含有量 1リットルにつき30ミ ミリグラム以下 ”
引用: 昭和44年5月30日 条例第23号|高槻市下水道条例
(h4)HACCP(ハサップ)
HACCPとは衛生管理の手法で、日本はこの考え方をもとに衛生管理を構築していくことが制度化されました。
衛生管理の中で、掃除や廃棄物の適切な取り扱いは基本的なため、HACCPの考えの1つとしてもグリストラップの設置を勧めています。
参考: HACCP(ハサップ)|厚生労働省 、 HACCPの考え方を取り入れた 衛生管理のための手引書 | 委託給食事業者 |公益社団法人日本給食サービス協会
グリストラップの掃除をしないとどうなる?
グリストラップの掃除をしないと以下のような問題が発生してしまいます。
- 廃棄物をそのまま下水に流すと環境汚染の原因になる
- 悪臭や害虫が発生する可能性がある
- 油が固まり配管がつまってしまう
- 異物混入や食中毒が発生する可能性がある
- 適切な処理をせずに油が下水に流れた場合は罰則される可能性がある
廃棄物をそのまま下水に流すと環境汚染の原因になる
グリストラップは下水道に繋がっているため、グリストラップの掃除を怠ると、ゴミが溜まって正常に機能せず下水に油やゴミなどの廃棄物が流れてしまいます。
川や海に流れ込んだ油の分解速度は遅く、川や海を汚してしまいます。川や海の生物にも影響を及ぼしてしまうため注意が必要です。
悪臭や害虫が発生する可能性がある
グリストラップに生ゴミが溜まっているままだと、食べ物や雑菌などによる悪臭が発生します。
また、悪臭や食べかすを求めてゴキブリやハエ、ネズミなどの害虫が寄ってきてしまい衛生環境が悪くなってしまいます。
害虫が大量に発生した場合は、害虫駆除をする可能性も出てくるため無駄な出費に繋がってしまうでしょう。
油が固まり配管がつまってしまう
油は冷えると固まってしまいます。
トラップ管の内部で油が固まってしまうと詰まりの原因となり、グリストラップが正常に機能しません。
異物混入や食中毒が発生する可能性がある
グリストラップを正しく掃除ができていないと、雑菌や害虫が発生してしまい、異物混入や食中毒の原因となってしまいます。
食中毒が発生した飲食店は、3日から7日間程度の営業停止処分を受ける可能性もあります。
適切な処理をせずに油が下水に流れた場合は罰則される可能性がある
グリストラップの掃除をせず、下水道に廃棄物が流れたり、下水道を損傷させたりした場合は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反とみなされ罰則される可能性があります。
法律に違反した場合は、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金に処し、又は両方をに処される恐れがあります。
参考:昭和四十五年法律第百三十七号 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 |法令検索
グリストラップを掃除しているのに臭い原因
グリストラップを掃除しているのに臭い原因は、主に2つ考えられます。
- グリストラップの掃除方法や掃除頻度が適切でない
- 排水管がつまっている
(h3)グリストラップの掃除方法や掃除頻度が適切でない
バスケットに細かい食べかすが詰まっていたり、グリストラップの端にある沈殿物まですくいきれていなかったりすると、廃棄物が固まってしまい悪臭が発生してしまうのです。
また、掃除頻度が適切でないとヘドロや油の凝固を引き起こしてしまいます。
当記事の第1層から第3層ごとの正しい掃除方法や掃除頻度、グルストラップの専用道具を確認して適切な掃除をしましょう。
(h3)排水管がつまっている
適切に掃除ができていないと、廃棄物や油が排水管にたまり故障の原因となります。
「排水がうまくいっていない」「掃除しているのに悪臭がする」場合は、排水管がつまっている可能性があるため、専門業者への相談がおすすめです。
⇒排水管のつまりは「生活水道センター」
グリストラップの掃除を業者に依頼する費用
グリストラップの掃除を業者へ依頼する場合の費用相場は、1回「3万円〜5万円」程度です。
ただし、容量や汚れ具合によっても異なります。排水管のつまりが発生した場合は、追加で「2万円〜5万円」かかることもあります。
意外にもコストがかかってしまうグリストラップの掃除費用を抑えるコツについて、ご紹介します。
参考:設備メンテナンス|DUSKIN ダスキン備前、グリストラップ清掃基本料金|FUJISAWA
グリストラップの掃除費用を抑えるコツ
グリストラップの掃除費用を抑えるコツは3つです。
- 定期的な掃除
- グリストラップクリーナーの使用
- 排水管のつまりは専門業者へ相談
(h4)定期的な掃除
グリストラップの掃除は、負担が大きく面倒に感じる時もあると思いますが、怠ってしまうと汚れを落とすことが困難になってしまいます。
適切な掃除方法と掃除頻度で、衛生環境を保ちましょう。
(h4)グリストラップクリーナーの使用
グリストラップ用の掃除クリーナーを使うこともおすすめです。臭いの元となる雑菌成分を排除する効果があります。
グリストラップだけでなく、シンクや作業台など様々な場所で有効活用できます。
参考:グリストラップクリーナー(4リットル)|DUSUKIN ダスキン西新宿
排水管のつまりは専門業者へ相談
排水管がつまった場合は、自社での対処は難しいでしょう。
ワイヤーやブラシを使って表面のつまりを解消することができるかもしれませんが、間違った方法で対処してしまうと廃棄物がつまって状態を悪化させてしまう可能性もあります。
排水管のつまりは、専門の業者に依頼するのが適切です。
⇒基本料金5,000円〜排水管のつまりは「生活水道センター」
まとめ
当記事では、グリストラップの正しい掃除方法や掃除頻度、掃除を楽にする便利道具などをご紹介してきました。
グリストラップの掃除は、飲食店を問題なく運営していくためにも必要な作業です。
自社で正しい掃除方法のマニュアルや衛生管理の意識等を共有し、正常な状態を保てるように工夫しましょう。
⇒排水管のつまりかな?と思った時は「生活水道センター」へご相談を
監修者
濱本 孝一 Koichi Hamamoto
代表取締役
2001 株式会社生活水道センター代表取締役就任
- < 資格 >
- 管工事施工管理技士
給水装置主任技術者
排水設備工事責任技術者
ガス消費機器設置工事監督者
ガス機器設置スペシャリスト - 2級ガソリン自動車整備士
2級ディーゼル自動車整備士
美容師
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