- 投稿日: 2023/02/28
- 更新日: 2024/03/11
トイレつまりを真空ポンプで直す方法と使用時に注意したいポイント
「トイレの水が流れなくなった」「便器から水が溢れかけている」などに困っていませんか。
トイレを使用できないため、今すぐどうにかしたいですよね。
このようなケースに適しているのが、トイレつまりに効果的な真空ポンプです。
適切に用いれば、問題を引き起こしている異物を吸い出せる可能性があります。
ただし、あらゆるトラブルに対処できるわけではありません。
この記事では、真空ポンプの概要や使い方、真空ポンプが適しているケース・適していないケースなどを解説しています。
そもそもトイレつまり専用の真空ポンプとは?
真空ポンプは、トイレをはじめとする水回りのつまり解消に用いられている専用のお掃除道具です。
本体の構造は、基本的に以下のようになっています。
【本体】
・先端:ゴムでできたカップ
・中心:シリンダー
・後端:ハンドル
先端を除いた構造は、竹で作った水鉄砲とほぼ同じです。
全長は、製品により大きく異なります。
家庭用に販売されているものは30cm前後のものが多いでしょう。
ホームセンターなどで1,000円程度から購入できます。 使い方は、排水口にカップを密着させて、ハンドルを上下させるだけです。
これにより、排水経路に引っ掛かっている異物を取り除けます。
ポイントは、カップを排水口に隙間なく密着させることです。
したがって、カップの形状にはいくつかの種類があります。
詳しくは後述しますが、使用する場所にあわせてカップの形状を選択することが重要です。
また、製品によっては、カップを着脱・交換できるものもあります。
着脱・交換できる製品の強みは、経済的であることと衛生的であることです。
洗面所やキッチンなどでも使いたい場合は、このタイプの製品を選んでおくとよいでしょう。
真空ポンプでトイレつまりが直る仕組み
シリンダーとハンドルが付いているため、複雑そうに見えますが仕組みはとても簡単です。
排水口にカップを密着させて、空気の逃げ道をなくしてからハンドルを引き上げると、シリンダーの中に水または空気が引き上げられます。
このときに生じる吸い込む力で、異物を崩したり動かしたりするのです。
同様に、ハンドルを押し下げると、シリンダーの中の空気または水が排出されます。
このときに生じる、押し出す力によっても、異物を動かしたり崩したりできます。
以上からわかる通り、基本的な仕組みはいわゆるスッポンと同じです。
スッポンも、上下運動により生じる吸い込む力、押し出す力で、異物を動かしたり崩したりします。
両者の違いは、異物にかけられる力の強さです。
シリンダーが付いている真空ポンプは、異物により強い力をかけられます。
したがって、スッポンでは効果を見込めそうにないトラブルでも解消できる可能性があります。
ただし、スッポンと同じく、あらゆる異物に使用できるわけではありません。
対処できる異物・対処できない異物を理解しておくことが重要です。
真空ポンプで対処できるつまり
スッポンよりも高い効果を期待できる真空ポンプですが、対処できる異物は限られています。
したがって、原因を見極めてから使用しなければなりません。
使用を勧められる異物は次の3つです。
【使用を勧められる異物】
・大便
・トイレットペーパー
・流せるお掃除シート・お尻拭きシートなど
以上3点に共通する特徴は水に溶けることです。
水につけているとやがてほぐれます。
したがって、真空パイプクリーナーで力をかけると吸い出せることや崩れて流れていくことなどが考えられます。
ただし、大量のトイレットペーパーが排水経路を完全に塞いでいる場合は注意が必要です。
真空ポンプでもトラブルを解消できないことがあります。
また、流せるお掃除シート・お尻拭きシートなどは、統一されたルールがないため製品により水につけたときの溶けやすさが異なります。
水に溶けにくいものを使用している場合や一度に大量のシートを流した場合は、トラブルを解消できないことが考えられます。
以上からわかる通り、上記3つが原因であっても、全てのトラブルに対処できるわけではありません。
効果を感じられない場合は、無理をせず水道修理業者へ相談することも重要です。
真空ポンプで対処できないつまり
前述の通り、真空ポンプの使用を勧められない異物もあります。
代表的な異物は次の通りです。
【使用を勧められない異物】
・ボールペンなどの筆記用具
・子どもの玩具
・おむつ
・生理用品
・残飯
・吐物
これらに共通する特徴は、水に溶けない、または水に溶けにくいことです。
吸い込む、押し出すなどの力を加えても崩れないため、トラブルの解消は難しいでしょう。
また、力を加えたことで排水管の奥へ流されて再びつまることも考えられます。奥へ進むほどトラブルの解消は難しくなります。
これらの異物に使用すると、状況を悪化させてしまうことがあるのです。
何もしていないときよりも、修理費用が高くなることもあるため、気を付けなければなりません。
ちなみに、残飯や吐物は評価が難しい異物といえます。
症状が軽度であれば、真空ポンプでトラブルを解消できることもあります。
ただし、症状と原因の見極めは簡単ではありません。
単に、吐物で流れが悪くなっているだけと思ったら、子どもの玩具が吐物の流れを遮っていたなどもあります。
また、少量でも吐物が水に溶けにくいことは変わりません。
はっきりとした原因がわからない場合や慎重に対処したい場合は、水道修理業者に相談することをおすすめします。
下の記事では異物がトイレに詰まった時の対処法を解説しています。
異物を流してしまった場合のNG行動も紹介してるのでぜひご覧ください。
異物がトイレつまりを引き起こしたときの対処法と避けるべきNGな行動
真空ポンプの種類と特徴
真空ポンプにはさまざまな選択肢があります。
製品により特徴は異なるため、用途などを考えて選択することが重要です。
ホームセンターなどで実際に確かめると、用途に合っているものを選びやすいでしょう。
ここでは、真空ポンプの種類と特徴を解説します。
業務用と家庭用
メーカーが想定しているユーザーを切り口に分類すると、真空ポンプは業務用と家庭用にわかれます。
どちらも基本的な仕組みは同じです。
前者の特徴として以下の点があげられます。
【業務用の特徴】
・吸引力が非常に強い
・大型のものが多い
・低い水位から対応できる
・価格が高い
家庭用に分類されるものの特徴は次の通りです。
【家庭用の特徴】
・吸引力が強い
・小型のものが多い
・価格が安い
業務用のほうが性能は高いといえるでしょう。
しかし、価格が高いうえ扱いも難しくなります。
具体的な金額は製品で異なりますが、10,000円以上するものも少なくありません。
また、大型のものが多いため操作や保管も大変です。
当然ですが、業務用を使ったからといってトラブルを解消できる保証はありません。
これらを踏まえると、自宅で使用する場合は家庭用で十分といえるでしょう。
カップの形状
カップの形状は、想定される用途で異なります。
吸引力を高めるため、カップを排水口に密着させなければならないからです。
主な用途は次の通りです。
【用途】
・洋式トイレ
・和式トイレ
・洗面台
・流し台
・浴室
洋式・和式トイレ用のものはカップの先端部分が突き出しています(和式用は平面のものもあり)。
洗面台・流し台・浴室用のものは、カップの先端部分が平面になっています。
製品の中には、カップ先端部分の突起を出し入れできるものもあります。
このような製品は、幅広い環境で使用できるでしょう。
カップの形状とともにサイズにも注意が必要です。
使用環境よりも大きなものを選んでしまうと、排水口にうまく密着させられません。
例えば、洋式トイレの排水口にはまらないなどが考えられます。
真空ポンプの用途とサイズは、基本的にパッケージなどに記載されています。
製品を選ぶときは、これらを必ず確認しておきましょう。
真空ポンプを使うメリット
真空ポンプは自分でトラブルを解消したい方におすすめのお掃除道具です。
主なメリットとして次の点があげられます。
トラブルを解消しやすい
最も大きなメリットは、スッポンよりも吸引力が強いことです。
したがって、スッポンでは対処できなかったトラブルを解消できる可能性があります。
製品を選べば1,000円程度~購入できる点も見逃せません。
うまくいけば、修理にかかる費用を大きく抑えられます。
また、上手くいかなかった場合も、大きな出費にはなりません。
高い効果を期待できるうえ、試しやすいお掃除道具といえるでしょう。
簡単に扱える
高い効果を期待できても、操作や保管が難しいと家庭には向いていません。
購入しても扱えないことや保管場所に困ることなどが考えられるからです。
真空ポンプは操作がとても簡単です。基本的には、スッポンと同じ感覚で使用できます(スッポンよりも簡単かもしれません)。
また、家庭用の製品は30cm程度の大きさであるため、保管場所にも困らないでしょう。
扱いやすい点も真空ポンプの強みです。
衛生的に使える
トイレトラブルで心配になるのが衛生面の問題です。
便器でスッポンを激しく上下させると水しぶきが飛んでしまいます。
真空ポンプは、本体を固定した状態でハンドルを上下させるため基本的に水しぶきは飛びません。
衛生面が気になる方でも安心して使用できます。
カップを取り換えられる製品がある点もポイントです。
このような製品を選べば、トイレはトイレ用、洗面台は洗面台用のカップを使用できます。
トイレのつまりを真空ポンプで直す方法
以上などのメリットがあるため、トラブル解消に真空ポンプはおすすめです。
具体的に、どのような作業を行えばよいのでしょうか。
ここからは、事前に準備するものと作業の手順を解説します。
事前に準備するもの
作業の前に次のものを準備します。
【準備するもの】
・真空ポンプ
・ゴム手袋
・新聞紙など
・バケツ
・不要なコップなど
・ゴミ袋
・マイナスドライバー
・タオル
真空ポンプはネット通販でも購入できますが、急いでいる場合は適していないといえるでしょう。
ホームセンターなどへ行けばすぐに購入できます。
ゴム手袋と新聞紙などは、汚水で手や床、壁などを汚さないためのものです。
バケツ・不要なコップは、便器内に溜った汚水を取り除くときに使用します。
ゴミ袋は、異物を吸い出せた場合に備えて用意しておきます。
もう一度流すと再発の恐れがあるため、吸い出した異物はできるだけ取り出しましょう。
以上を準備できたら作業を開始します。
手順
本格的な作業を始める前に準備を整えます。準備の流れは次の通りです。
【作業の準備】
- マイナスドライバーを使って止水栓を閉める
- トイレの床と壁に新聞紙などを貼る
- ゴム手袋をはめる
止水栓は、タンクから延びている配管をたどると見つけられます。
ネジのようになっている箇所が止水栓です(ハンドル式のものもあります)。
ここをマイナスドライバーで右方向へ回すと、タンクへの給水を止められます。
見つけられない場合は、水道メーターボックス内に設置されている元栓を閉めても構いません。
ただし、元栓を閉めると住宅に対する水の供給が一時的に止まります。
以上の準備が整ったら、真空ポンプを使った作業を開始します。
具体的な流れは次の通りです。
【作業の流れ】
- 不要なコップなどで便器内の汚水をバケツに汲みだす
- 水の高さを真空ポンプのカップが隠れる程度に調整する※
- 便器の排水口にカップをあてる
- ハンドルを下げた状態で3を上から押して密着させる
- 4の状態を保ったままハンドルを一気に引き上げる
- 4の状態を保ったままハンドルをゆっくり押し下げる
- 5と6を繰り返す
- 水が流れたらバケツなどで少量の水を便器に注ぐ
- 8を流してトラブルの解消を確認する
- 止水栓を開いて水が流れることを確認する
※便器内に水がない場合は、カップが隠れる程度まで追加します。
ポイントは、カップをしっかり密着させることとハンドルを勢いよく引上げることです。
これにより強い力で異物を吸引できます。
原因を取り除けたら、便器内の水位が下がるなどの変化が現れるはずです。
すぐに止水栓を開いて洗浄したくなりますが、いきなりこのような行動をとることはおすすめできません。
トラブルが解消していないと、便器から水が溢れ出てしまうからです。
まずは、バケツなどで少量の水を注いで、問題なく流れることを確認しましょう。
順調に流れたら止水栓を開いて、大洗浄で最終確認をします。
トイレのつまりに真空ポンプを使うときの注意点
真空ポンプの使い方はそれほど難しくありません。
ただし、実際に使うときは以下の点に注意が必要です。
必ずつまりの原因を確認する
前述の通り、あらゆるトラブルに対処できるわけではありません。
異物の種類によっては、真空ポンプを使うことで症状が悪化することもあります。
したがって、原因を確かめてから使用しなければなりません。
適応となるのは、大便・トイレットペーパーなど、水溶性のものが問題を引き起こしている場合だけです。
子どもの玩具やペットボトルのフタなど、非水溶性のものが原因の場合は他の対処法を考えなければなりません。
現在よりも奥へ押し込んでしまうことがあるからです。
はっきりとした原因がわからないものの真空ポンプを使用したい場合は「ハンドルを引き上げる」だけにしておくとよいかもしれません。
具体的には、排水口に押し付けた状態でハンドルを引き上げ、排水口から離した状態でハンドルを押し下げます。
これにより、異物に押す力は加わりません。
ただし、吸引力で動いた異物が奥へ流れる恐れはあります。
原因がわからない場合は、無理をせず水道修理業者に相談するほうがよいでしょう。
トイレの排水口に密着するものを使用する
期待通りの効果を発揮するため欠かせないのが、便器の排水口と真空ポンプのカップを密着させることです。
これにより強い吸引力が生まれます。
真空ポンプを購入するときは、カップの形状が排水口に合っているものを選ばなければなりません。
洋式トイレに使用する場合は洋式トイレ用、和式トイレに使用する場合は和式トイレ用を選択することが重要です。
また、カップのサイズもさまざまです。形状があっていてもサイズが合っていなければ、排水口に密着させることは難しくなります。
排水口のサイズを事前に測っておくと商品選びを進めやすくなります。
使用後は洗浄する
汚水と接触するため、トイレで使用した真空パイプは不衛生です。
使用後は必ず洗浄しましょう。
基本的な洗浄方法は次の通りです。
【洗浄方法】
- バケツにきれいな水を注ぐ
- バケツにカップを付けてブラシなどで軽く擦る
- バケツの水を入れ替える
- カップ全体をバケツの水につける
- ハンドルを上下に動かす
- キッチンペーパーなどで水滴を拭く
- 風通しの良い場所で干す
分解できる場合はパーツごとに洗うと細かな点まできれいになります。
乾燥後は、ビニール袋などに包んで保管するとよいでしょう。
つまりが解消されない場合は無理せず業者に依頼する
適切に作業を行っても、トラブルを解消できないことはあります。
このようなケースは、無理をせず水道修理業者に相談しましょう。
よくわからないまま作業を続けると、症状を悪化させてしまうことや排水管を破損してしまうことなどがあるからです。
また、次の場合は、自分で作業をせず水道修理業者に相談することをおすすめします。
【水道修理業者に相談したいケース】
・問題を引き起こしているものがわからない
・非水溶性のものを流してしまった
特に、生理用品やおむつなどを流した場合は早急な相談が必要です。
時間の経過とともに水を吸って膨らむため症状が悪化してしまいます。
同様に、作業に慣れていない方も、水道修理業者に相談するほうが無難です。
かかる手間や修理代を考えると、自分で行うメリットを感じられない恐れがあります。
真空ポンプ以外でトイレつまりを直す方法
「水が流れない」「水が溢れてきた」などのトラブルは、真空ポンプ以外でも直せる可能性があります。
原因などによっては、別の方法が適していることもあります。
現在の状況にあわせて、直し方を選択することが重要といえるでしょう。
代表的な選択肢は次の通りです。
【直し方】
・スッポン(ラバーカップ)
・ワイヤーブラシ
・薬品
・食器用洗剤
・重曹とクエン酸
ワイヤーブラシを活用すれば、排水経路にとどまっている異物を削り落とせます。
これらの詳しい作業手順は、以下のページで紹介しています。
別の方法を試してみたい方は参考にしてください。
参考記事:トイレつまりの自分で出来る直し方を解説!原因や予防方法も紹介
トイレつまりの業者の選び方
自分で対処できそうにないなどと感じるときは、水道修理業者へ相談することをおすすめします。
ただし、サービスや応対の品質はさまざまです。
中には、混乱に乗じて高額な費用を請求するところもあります。
したがって、相談する水道修理業者は慎重に選ばなければなりません。
リサーチ時に意識したい基本的なポイントは次の通りです。
【意識するポイント】
・水道局指定工事店を選ぶ
・相見積もりをとって修理代の妥当性を評価する
・確認できる場合は口コミも参考にする
水道修理業者選びのポイントは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
参考記事:トイレつまり・水漏れトラブルで安心して頼める業者の選び方
トラブルに自分で対処したいときは真空ポンプを検討
この記事では、トイレのつまりを真空ポンプで解消する方法などを解説しました。
基本的な仕組みはスッポンと同じですが、構造が異なるため吸引力はさらに強くなります。
扱いが簡単で、衛生的に使用できる点も魅力です。
自分でトラブルを解決したい方に向いているお掃除道具といえるでしょう。
ただし、全てのトラブルに対応できるわけではありません。
非水溶性の異物が引っ掛かっている場合、異物の正体がわからない場合などは使用を勧められません。
少しでも不安を感じるときは、無理をせず水道修理業者に相談してください。
ぜひお問い合わせください。
監修者
濱本 孝一 Koichi Hamamoto
代表取締役
2001 株式会社生活水道センター代表取締役就任
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- 管工事施工管理技士
給水装置主任技術者
排水設備工事責任技術者
ガス消費機器設置工事監督者
ガス機器設置スペシャリスト - 2級ガソリン自動車整備士
2級ディーゼル自動車整備士
美容師
管理美容師
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