- 投稿日: 2023/02/28
- 更新日: 2024/03/11
異物がトイレつまりを引き起こしたときの対処法と避けるべきNGな行動
「不注意でトイレに異物を流してしまった」「流せないものとは知らずにトイレに異物を流してしまった」などにあてはまりませんか。
つまりの原因になるため、困っている方が多いでしょう。
気持ちは理解できますが、焦って対処することはおすすめできません。
選択した行動によっては、症状を悪化させてしまうことがあるからです。
この記事では、トイレに流せるもの・流せないものの判断基準、異物がつまったときの対処法などを詳しく解説しています。
自分でトラブルを解決したい方は参考にしてください。
トイレに流して良いものと悪いものは?
トイレは、タンク内に貯めた水を勢いよく便器へ放出することにより排泄物を押し流す仕組みになっています。
ある程度の大きさのものであれば排水口へ押し流せるため、排泄物以外のものを流している方もいるでしょう。
しかし、あらゆるものを流せるわけではありません。
よく考えずいろいろなものを流していると、つまりをはじめとするトラブルに発展する恐れがあります。
流して良いものと悪いものを理解して正しく使用することが重要です。
ここでは見極めのポイントを解説します。
流せるもの
流せるものは、基本的に次の3つだけです。
【流せるもの】
・排泄物(大便・小便)
・トイレットペーパー
・水
家庭などに設置されているトイレは、排泄物を清潔に処理するための設備です。
この目的を考えると、流せるものは排泄に関連する以上の3つだけになります。
実際に、トイレの取扱説明書の注意事項には「便・トイレットペーパー以外のものは流さない」などと記載されていることがほとんどです。
ただし、以上の3つであれば自由に流して良いわけではありません。
トイレットペーパーに関しては、1度に流す量が多すぎると流しきれないことがあります(多くの場合、この点も取扱説明書に記載されています)。
具体的な量はケースで異なりますが、目安は大洗浄1回あたりダブル5m、シングル10mまでと考えられています。
これよりも量が多くなると、トラブルを起こすリスクが高くなってしまいます。
ちなみに、一般社団法人日本レストルーム工業会が15~88歳の男性1,155人、女性1,155人を対象に実施した「温水洗浄便座の使用とトイレットペーパーの使用に関する実態調査」によると、お尻を拭くときにとるトイレットペーパーの長さは1回あたり平均0.8mです。
これを4つ折りにして使用する方が多いとされています(重ね枚数(折り方)にシングルとダブルの差はありません)。
[1]以上のデータを基にすると、大洗浄1回に対し、7回以上、トイレットペーパーをとるとトラブルを起こしやすくなると考えられます。
流せないもの
基本的に、上記3点以外はトイレにとっての異物と考えてよいでしょう。
異物を流せない主な理由は、水に溶けにくいからです。
排水経路の径はそれほど大きくありません。
また、下水管に接続するまでの間に曲がっている箇所もあります。
異物を限られた水量で流すと、途中で止まることも考えられます。
流せないものとして、携帯電話・オモチャ・筆記用具などがあげられます。
また、以下のものは、誤って流してしまうケースが多いため特に注意が必要です。
【流せないもの】
・生理用品・おむつ
・ティッシュペーパー
・流せるお掃除シート
・爪楊枝
これらに注意したい理由を簡単に説明します。
生理用品・おむつ
吸水力と保水力を兼ね備えた高分子吸水材を使用しているため、トイレに流すと水を吸って膨らみます。
時間の経過とともに膨らんで排水経路を完全に塞いでしまうことがあるため注意が必要です。
ティッシュペーパー
トイレットペーパーとよく似ているため流してしまいがちですが、ティッシュペーパーは水に浸かってもほぐれません。
したがって、大量に流すと排水経路を塞いでしまう恐れがあります。
流せるシート
流せるお掃除シートなどの品質は商品で異なります。統一した基準がないため、水に溶けるまで時間がかかるものもあります。
製品や流す量などによっては、排水経路でとどまってしまうかもしれません。
流せると記載されていても、基本的には流さないほうがよいでしょう。
爪楊枝
爪楊枝もトラブルを引き起こしやすい異物と考えられています。
排水経路の途中で引っかかってしまうことが多いからです。
ここにトイレットペーパーが絡みつくと、トラブルは大きくなってしまいます。
トイレに異物を流してしまった場合のNG行動
トイレになんでも流せると考えている方はそれほど多くありません。
しかし、気を付けていても、異物を流してしまうことはあります。
例えば、便座から立ち上がるときにペンを落としてそのまま流してしまう、目を離した隙に子どもがオモチャを流してしまうなどが考えられます。
あるいは、流せないと知らずに、爪楊枝やティッシュペーパーなどを流してしまうこともあるでしょう。
これらに気づくと焦ってNG行動をとってしまうことが少なくありません。
ケースによっては、症状を悪化させるため注意が必要です。代表的なNG行動は次の通りです。
何も考えずラバーカップを使用する
トイレの水が流れなくなったら「まずはラバーカップ(スッポン)」と考える方は多いようです。
学校をはじめ、幅広い施設で常備されているため、気持ちは理解できます。
ただし、トラブルはラバーカップが適しているケースと適していないケースにわかれます。
使用は慎重に行わなければなりません。
ラバーカップは、カップ部分を排水口に密着させて引きあげるときに生じる吸引力で異物を取り除きます。
有効と考えられるのは、水に溶けるものが流れを遮っているときです。具体的には、排泄物とトイレットペーパーが考えられます。
水に溶けないものが流れを遮っているときは使用をおすすめできません。
もちろん、運よく異物を取り出せることはありますが、反対に異物を奥へ押しやってしまうこともあります。
後者の場合、流れが改善したとしても長くは続かないでしょう。
排水管の奥に引っ掛かっている異物に、トイレットペーパーなどが絡みついて流れをせき止めてしまうからです。
排水管の奥でつまりが生じると、作業が難しくなるため修理費用は高くなります。
このようなリスクを考えると「まずはラバーカップ」はNG行動と考えられるのです。
異物を水で流そうとする
トイレに流した異物が完全に流れ切らないと、さらに多くの洗浄水で押し流そうとする方もいるようです。
焦って洗浄レバーを何度も回すなどが該当します。
トイレは水の勢いで排泄物を押し流す仕組みであるため、条件によってはこの方法でもトラブルを解決できるでしょう。
しかし、ラバーカップと同様に、おすすめできる方法ではありません。
運よく異物が流れないと、行き場を失った汚水が便器から溢れ出てしまうからです。
大洗浄1回であれば溢れ出ることは少ないですが、2回になるとほとんどのケースで溢れ出てしまいます。
排泄物を含んだ洗浄水や排水経路の途中まで流れた洗浄水が溢れ出ると衛生的な環境を保てません。
濡れた床や便器を拭いて消毒する作業なども必要になるため大変です。
また、何度も洗浄することで、異物が排水経路の奥へ進んでしまうことも考えられます。
奥へ進むほど、自分で対処することは難しくなります。
水道修理業者に依頼した場合も、作業が難しくなるため修理費用は高くなります。
以上の理由で、この対処法もおすすめできません。
トイレに異物を流したときの対処法
トイレに異物を流してしまったときは、速やかに水道修理業者へ相談することをおすすめします。
自分で対処すると症状を悪化させてしまうことがあるからです。
とはいえ、まずは自分でどうにかしたいと考える方もいるでしょう。
ここからは、自分でできる基本の対処法を紹介します。
手で取り出せる場合はそのまま引き上げる
問題になっている異物の場所はケースで異なります。
異物の大きさなどによっては、便器の排水口付近にとどまっていることもあります。
排水口の奥をのぞき込むと、異物の一部が見える場合は手で取り出せるか試してみるとよいでしょう。
また、外から見えなくても、手で探ると触れること、取り出せることもあります。
他の作業を始める前に、まずは確認してみるとよいかもしれません。
用意するものと作業の流れは次の通りです。
【用意するもの】
・ゴム手袋
・輪ゴム
・ビニール袋
・不要なコップなど
・バケツ
【作業の流れ】
- ゴム手袋を装着して手首あたりを輪ゴムで留める
- 不要なコップなどで便器内の水を汲みだす
- 適量になったら排水口をのぞいて異物を確認する
- 便器の排水口に手を差し込む
- 取れそうな場合は異物を取り出す
- 手洗い・消毒などを済ませる
異物を取り出せそうにないときは、無理をせず水道修理業者に相談します。
強引に取り出そうとすると、便器を壊してしまうことがあるからです。
水を吸って膨らむ生理用品・おむつなどが引っ掛かっている場合はできるだけ早く対処します。
時間が経つと膨張して対処が難しくなることがあります。
異物が目視できないときは汚水桝(おすいます)を確認
便器の排水口付近で異物を確認できないときは奥に流されている可能性があります。
このようなケースでチェックしたいのが汚水桝です。
汚水桝は、排水管のつまりが生じやすい箇所に設けられた点検・清掃用の構造物といえるでしょう。
家庭から出た生活排水は、ここを通って固形物を取り除いてから下水へ流れていきます。
したがって、排水桝を確認すれば異物を発見できる可能性があります。
汚水桝の目印は、敷地内に設置されている「おすい」「汚水」と書かれた小さな丸いフタです。
参考に、基本的な確認方法を紹介します。
【用意するもの】
・マイナスドライバー
・ゴム手袋
・ビニール袋
・タオル
【作業の流れ】
- ゴム手袋をはめる
- 住宅の近くに設けられた汚水桝を探す
- フタの切り欠きにマイナスドライバーを差し込む
- てこの原理でフタを開ける
- 汚水桝内に異物がある場合は取り除く
- 汚水桝のフタを元に戻す
マンションなどの集合住宅は、汚水桝を簡単にチェックできません。
異物が見つからないときは、管理会社や水道修理業者に相談しましょう。
汚水桝(おすいます)を塞いで異物が流れないようにする
便器の排水口、汚水桝で異物を確認できない場合、これらの間にとどまっている可能性があります。
水を流していなければ、この可能性が高いといえるでしょう。
トイレの洗浄水は、汚水桝を通って下水管へと流れていきます。
したがって、汚水桝の手前に異物があると考えられるときは、これより先へ進まないようにすることが重要です。
異物の進行を止める方法は次の通りです。
【用意するもの】
・マイナスドライバー
・ゴム手袋
・ブラシなど
【作業の流れ】
- ゴム手袋をはめる
- 住宅の近くに設けられた汚水桝を探す
- フタの切り欠きにマイナスドライバーを差し込む
- てこの原理でフタを開ける
- 汚水桝内にブラシなどを立てて流れを遮る
汚水桝内に立てるものはブラシに限られません。
異物が流れ出ることを防げるものであれば使用できます。
例えば、大き目のスコップなどを活用してもよいでしょう。
繰り返しになりますが、マンションなどの集合住宅は汚水桝を簡単にチェックできません。
基本的には、管理会社または水道修理業者への相談が必要です。
排水テストを行う
以上の準備が整ったら、排水テストで便器の排水口と汚水桝の間にある異物を確認します。
注意点は、トイレ側(水を流す)と汚水桝側(水の流れを確認)に人員を配置しなければならないことです。
排水テストは基本的に2人で行います。作業の流れは次の通りです。
【用意するもの】
・直径4cmの大きさに丸めたトイレットペーパー5~6個程度
・ゴム手袋
・ビニール袋
【作業の流れ】
- トイレ側1人、汚水桝側1人にわかれる
- 丸めたトイレットペーパーを便器に入れて流す
- 汚水桝側で水の流れを確認する
汚水桝側で確認 | 異物の場所 |
➀トイレットペーパーがそのまま流れてきた | 異物は汚水桝を超えている |
②トイレットペーパーが流れてこない | 異物は汚水桝より前にある |
➀の場合は、2~3回程度、同じ作業を繰り返して異物がないことを確かめます。
水が流れる場合も、問題がないわけではありません。
下水管側へ異物が流されている恐れがあるからです。
自分で異物を取り除くことは難しいため水道修理業者へ相談しましょう。
②の場合は、そこで作業を中断します。何度も水を流すと、便器側から溢れてしまうからです。
異物の場所が推測通りであれば、ラバーカップを用いてトラブルの解決を目指せます。
ちなみに、トイレットペーパーと異物が一緒に流れてきたときはそこで作業完了です。
ゴム手袋をはめて、汚水桝内の異物を取り除きましょう。
【最終手段】ラバーカップを使用する
便器と汚水桝の間に異物があると考えられる場合はラバーカップで対処します。
先ほど、ラバーカップはNGな行動と説明しましたが、これは準備が整っていないときです。
異物の位置を絞り込んで、汚水桝を塞いでいれば使用を検討できます。
基本的な作業の流れは次の通りです。
【用意するもの】
・ラバーカップ
・ゴム手袋
・ゴミ袋
【作業の流れ】
- ゴム手袋をはめる
- 便器内の水位をラバーカップのカップ部分が隠れる程度に調整する
- ゴミ袋を広げて中心に小さな穴をあける
- 3の穴にラバーカップの持ち手を通す
- ラバーカップのカップ部分を便器の排水口にあてる
- 2のゴミ袋で便器を覆う(水撥ね対策)
- 真上から押してラバーカップのカップ部分を便器に密着させる
- カップが外れないように気を付けながら持ち手を一気に引っぱる
- 6と7を繰り返す
- 異物と水の流れを確認する
水が流れるなどの変化があれば汚水桝側で異物を確認します。
変化を確認できない場合は水道修理業者へ相談が必要です。
下の記事ではご家庭にあるものでトイレつまりを解消する手順や注意点も紹介しています。
気になる方はぜひ合わせてご覧ください。
トイレつまりの自分で出来る直し方を解説!原因や予防方法も紹介
状況に応じて水道修理業者への相談を検討
この記事では、トイレに異物がつまったときの対処法などを解説しました。
異物の種類はさまざまですが、水に溶けないものを流すと排水経路にとどまってしまう恐れがあります。
トラブルが起きたときは、異物の種類と場所を特定してから対策を講じるとよいでしょう。
便器の排水口付近にとどまっている場合は、手で取り除ける可能性があります。
少しでも不安を感じるときは水道修理業者にご相談ください。
状況にあわせて適切に対処できます。
あらゆる水道トラブルの工事・修理なら生活水道センター
ぜひお問い合わせください。
監修者
濱本 孝一 Koichi Hamamoto
代表取締役
2001 株式会社生活水道センター代表取締役就任
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- 管工事施工管理技士
給水装置主任技術者
排水設備工事責任技術者
ガス消費機器設置工事監督者
ガス機器設置スペシャリスト - 2級ガソリン自動車整備士
2級ディーゼル自動車整備士
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